【レザー界の新素材】マッシュルームレザーの種類・特徴・魅力を微生物のプロが徹底解説

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この記事でわかること
  • マッシュルームレザーってなに?
  • マッシュルームレザーメーカー3選
  • おすすめのマッシュルームレザーアイテム

近年、次世代の新素材として注目を集める『マッシュルームレザー』。

環境負荷が小さいサスティナブルなレザーとして、今後様々な活用が期待されています。

マッシュルームレザーってなに?
どんな製品があるの?

この記事では、少しでも多くの方に「マッシュルームレザーの魅力」をお伝えしていきます。

目次

マッシュルームレザーは環境にやさしい新素材

キノコを原材料とした人工皮革

マッシュルームレザーとは、その名の通りキノコから作られたレザーライクな新素材のことです。

皮革の中でも「人工皮革」の一種に分類されることが多いです。

人工皮革とは?

不織布をベースとして、表面をポリウレタン樹脂でコーティングして天然皮革に近い風合いを再現した素材。

不織布層は天然皮革でいうところのコラーゲン層を再現しています。

マッシュルームレザーは不織布の代わりに、キノコから作られる素材を使用しているところがポイントなんです!

原料として使っているのは子実体(いわゆるキノコ)ではなく、菌糸体(木の根っこのような部分)です。

おがくず等をマルチング材として2週間ほど培養し、菌糸体を収穫して加工して作られます。

マッシュルームレザーは環境にやさしい(かも)

マッシュルームレザーの原料であるキノコは、水、空気、適度な温度と湿度で培養することができます。

天然皮革のもとである牛や豚などの家畜を飼育すると成長までに数年間かかります。

その間に多くの水やエネルギーが消費されるわけですね。

その一方で、キノコの生育は早く数週間単位で収穫することができますし、多くの飼料も必要としません。

下のグラフは、Reishi™を作る工程で排出される二酸化炭素が、牛革の製造工程よりも圧倒的に少ないことを示しています。(出典:Matthew et al. 2022)

Life cycle assessment of MycoWorks’ Reishi™: the first low-carbon and biodegradable alternative leather

Ellie Williams, Katarzyna Cenian, Laura Golsteijn, Bill Morris & Matthew L. Scullin

Environmental Sciences Europe 2022, 34:120

DOI: https://doi.org/10.1186/s12302-022-00689-x

二酸化炭素削減効果が半端ない!

ただ、誤解のないように言っておくと、天然皮革の多くは食肉用の牛や豚から副産物として得られるものです。

また、キノコ栽培にも温度や湿度管理の上でエネルギー消費は必要です。

エコだからという理由だけで天然皮革がマッシュルームレザーに100%置き換わることはないでしょう。

それでも、マッシュルームレザーは環境負荷が小さいことには変わりないので、素材の新しい選択肢が増えたことは素晴らしいと思います。

マッシュルームレザーメーカー3選

世界を見ても、マッシュルームレザーを作るメーカーはまだまだ少数です。

マッシュルームレザー自体が最近開発された新素材だからですね!

この記事では、マッシュルームレザーメーカー3社を紹介します。

MycoWorks

出典:MycoWorks

MycoWorksは、2013年にアメリカで創業したスタートアップ企業です。

MycoWorks
  • 創業:2013年
  • 所在地:アメリカ
  • 事業内容:マッシュルームレザー素材開発
  • 特徴:独自の特許技術 ”ファイン マイセリウム” によってReishi™を開発、あのエルメスともコラボしている

MycoWorksの開発した「Reishi™」は、キノコから作られる全く新しい素材です。

その名前は、その原材料となる霊芝 (れいし) と呼ばれるマンネンタケ科キノコの名前から取っているそうですよ。

日本語が由来なんですね!

Reishi™は、ポリウレタン樹脂コーティングなしで、レザーに近い素材を生み出しているとこが凄いです。

その構造は人工皮革とは全く異なることからも、MycoWorksが「Reishi™はもはやマッシュルームレザーではない」というのも納得できるかもしれません。

世界的なトップブランド「エルメス」ともコラボしたりと話題になっています。

近いうちにReishi™製品が身近に増えることを期待しています!

MycoWorks
MycoWorks - Growing the future of materials with Fine Mycelium™ MycoWorks develops premium, natural materials using Fine Mycelium™, our patented technology. Explore our leather option - where Nature's elegance meets haute co...

Bolt threads

出典:アディダス

Bolt threadsもMycoWorksと同じくアメリカのスタートアップ企業で、創業は2009年です。

Bolt threads
  • 創業:2009年
  • 所在地:アメリカ
  • 事業内容:マッシュルームレザー、シルクなどの素材開発
  • 特徴:マッシュルームレザー「Mylo™」

Bolt threadsといえば、マッシュルームレザー「Mylo™」ですね。

アディダスとコラボして、Mylo™製のスニーカーを生み出したことも話題になりました。

日本でも土屋鞄製作所がBolt threadsとタッグを組み、Mylo™を使った製品を世に送り出しています。

原材料のキノコの種類は不明ですが、量産化が進められているようです。

土屋鞄製作所 × Mylo™については記事の後半で取り上げています!

MYCL / Mycotech Lab

出典:Mycotech Lab

Mycotech Labは2015年に創業したインドネシア発の企業です。

Mycotech Lab
  • 創業:2015年
  • 所在地:インドネシア
  • 事業内容:マッシュルームレザー素材開発
  • 特徴:マッシュルームレザー「MYLEA™」を製造、染色に植物や廃棄食品由来の天然染料を使用

インドネシアの伝統発酵食品テンペから着想した製法でマッシュルームレザー「MYLEA™」を製造しています。

タバコウロコタケ科のキノコを原材料としています。

革の染色には、植物の根や葉、廃棄された食品から抽出された天然染料を使用しており、環境配慮もばっちりです。

Reishi™やMylo™とは違った原料や製法によって、質感やクオリティの違いが楽しめそうですね。

Mycotech Labの技術を応用した純国産のマッシュルームレザーMYCLについては以下の記事で解説しています。

マッシュルームレザー製品を買うなら『土屋鞄製作所』

出典:土屋鞄製作所

最先端のマッシュルームレザー製品が欲しい!と思った場合、どこで買えばいいのでしょうか?

そんな方へのおすすめは、土屋鞄製作所さんの「Mylo™シリーズ」!

土屋鞄製作所といえ、ランドセルで有名な日本を代表する皮革製品メーカーですよね

そんな土屋鞄製作所が「Mylo™シリーズ」を発売したことで、マッシュルームレザーの知名度が一気に高まったのではないでしょうか?

Mylo™シリーズはL字ファスナー財布がラインナップされていますが(2023年5月現在)、順次新製品が投入される予定です。

Mylo™ ハンディLファスナー

引用:土屋鞄HP
製品名Mylo™ (マイロ) ハンディLファスナー
サイズ縦 8.7 × 横 11.6 × 厚み 2.0 cm
素材外装 = 人工皮革「Mylo™」、牛革
内装 = 人工皮革「Mylo™」
ブラックのみ
価格¥48,400
メリット
  • 収納力はありながらコンパクト
  • お手入れが簡単
デメリット
  • 新素材のため価格が高め
  • Mylo™使用部分はエイジングを楽しめない

新素材ということで、まだまだコストパフォーマンスは悪い印象です。

Mylo™は人工皮革と同様に表面をポリウレタン樹脂でコーティングしているため、買った時の質感が変化しにくいです。

その代わり、エイジングがほとんど楽しめないということでもありますね (この辺りは人によってメリットにもデメリットにもなりますね)。

Mylo™シリーズは以下のような人にはぴったりではないでしょうか?

こんな人におすすめ
  • 新しい物好きなひと
  • 他人と被りたくないアイテムが欲しいひと
  • 環境 (SDGs) 意識が高いひと

メリット・デメリットを理解した上で、マッシュルームレザーグッズは一味違ったプレゼントとして喜ばれること間違いないです。

気になった方は、是非チェックしてみて下さい!

マッシュルームレザーについてのまとめ

環境保護や動物愛護の観点から、サスティナブルレザー、エシカルレザーといった言葉を耳にするようになりました。

キノコが食品としてだけでなく、新たな素材として注目を集めているのは、キノコ好きの一人としてうれしい限りです。

色々なレザーのいいところを、より活かした使い方が広まってくれればいいなと思いました。

この記事を書いた人

技術士 (生物工学)、微生物研究者として微生物と戯れる日々を送る筆者が、微生物がつくるサスティナブルなグッズをメインに情報発信中。

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